科学者、ほうれん草の葉っぱを人間の心臓組織に作り変えることに成功
日進月歩を続ける科学や医療技術。このたび発表された研究結果はその中でも画期的な可能性を秘めている。なんとほうれん草の葉っぱから人間の心臓組織を作ることに成功したというのだ。
ほうれん草を心臓組織に作り変える
ほうれん草から人間の心臓組織を作ったというのは、にわかには信じがたい情報だが、今年5月に研究者らが研究誌Biomaterialsで、その成果を発表している。
動画:youtubeより『Spinach leaves can carry blood to grow human tissues』
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これまで、動物の組織内にある複雑に枝分かれする血管を再現するのには、3Dプリンターを使用した方法で世界中の研究者らが実験していたが、なかなか上手くいかず、困難な状態だった。
だが、今回の方法は根本的に異なる。すでに存在しているほうれん草の葉脈を利用するというのだ。
植物と動物は体内の物質を全く異なる方法で輸送し、全身に循環させているが、その毛細管のネットワークは非常に似ているのだという。
作り方は、まずホウレンソウの葉から植物組織を取り除き、脱細胞化を行う。その後ヒトの血液成分に似た溶液等をほうれん草の葉脈を通して流し込む。そしてヒトの細胞を植えつけることによって心臓組織を作るのだという。
将来的には心臓病患者の治療に
この発表を行った、ウースター工科大学(WPI)の生体医工学のグレン・ガウデット(Glenn Gaudette)教授は「私たちは様々な研究を行いましたが、この方法はこれまでのところ非常に有望です」「農業という数千年間にわたって培ってきた知識を組織工学に応用することは、この分野を制限する多くの問題を解決する突破口になるかもしれません。」と語る。
研究チームは、将来的にほうれん草から作った心臓組織を、心臓病患者に移植して、血液や酸素・栄養を体に送る血管網にすることが出来るのではと自信を示している。
via:dailymail(英語)