猫の出番はないぜ! NYのネズミ駆除のために出動するハンター犬集団
金融ビジネスやファッション、エンターテイメントなどあらゆる分野において世界をリードしている大都市、ニューヨーク。しかし近年、ネズミの繁殖が深刻な問題となっている。その問題を解決すべく、ある集団が夜な夜な活動しているという。
NYのネズミを狩る集団「RATS」
その集団は、Ryders Alley Trencherfed Society。通称「ラッツ(RATS)」。
彼らはニューヨークで問題となっているネズミを夜な夜なハンティングしている。RATSは40名のメンバーとその飼い犬で構成されており、犬を使ってネズミを駆除するのだ。
創始者であるリチャード・レイノルズ(Richard Reynolds)によると、RATSは公園の従業員の要請により1995年に設立したという。
彼らはボランティアでネズミの駆除を行っており、住民らからの問い合わせを受け、現場に出動する。無償にもかかわらず、その効果は絶大だそうで、ほぼ必ず成果をあげているとのこと。
テリア犬は元々、狩猟用の犬として生まれた
RATSで活躍する犬は、テリア犬種。日本でもペットとして人気の小型犬である。
テリア犬種はその愛らしい見た目から、狩猟向きではないように思われがちだが、もともとはイギリスでネズミやキツネを狩る目的で品種改良されたものだ。そのため、警察犬で活躍しているドーベルマンなどの大型な犬よりも、ネズミに対しては効果を発揮する。
ネズミが好む狭い場所にも容易に入ることができ、臆することなくネズミを仕留める。
またRATSでネズミを狩る犬には、流血させずにネズミを殺す訓練が施されているそうで、ネズミに嚙みつくと激しく揺さぶり、首の骨を折るなどして仕留めるという。
とはいえ、ネズミに犬が噛まれるなどして流血することもたびたびある。そのため一度に出動する犬は8匹まで、獣医とともに行動するなど規則が定められており、レプトスピラ症などのネズミの尿や血液からの細菌感染に注意を払っているそうだ。
夜な夜なネズミ駆除に汗を流しているRATS。だが、その本来の活動目的はネズミを根絶することではない。テリア犬種の保存こそがRATSの本来の目的だそう。しかし、ニューヨークで大繁殖しているネズミに対抗できる力を持っているがゆえ、その力をいかんなく発揮しているというわけだ。
リチャードは、取材を行ったメディアの「これまでに狩ったネズミの数は?」という質問に対し、「そんなの検討もつかないよ!」と笑って答えたという。
ネズミに迷惑している市民にとってはヒーローだが、ネズミの立場からすると恐ろしいことこの上ない。