理論上、クモは地球上の全人類をわずか一年で食い尽くすことができるらしい
ある興味深い研究が発表された。その発表とはクモの食事量について。
地球上のクモが、一年間に食べる獲物の量を算出し、もしも人間がクモの獲物だったらどうなるのかという計算を真剣に行ったというのである。
地球上のクモが一年間に食す獲物は、総人口を超える
まず、クモは我々人間にとって、とても身近な存在だ。
日本でも、クモは害虫を食べてくれることから益虫として知られている。地上のあらゆる場所に生息しており、家の中など人間の行動範囲でもよく見かける。
そんなクモが一年間にどれほどの食事をしているのか、ヨーロッパの生物学者が調査を行い、今月(2017年3月)初めに科学誌『サイエンス・オブ・ネイチャー(Science of Nature)』で、その研究論文が掲載された。
論文の著者、マーチン・ニフェラー(Martin Nyffeler)とクラウス・ビルコーファー(Klaus Birkhofer)によると、地球上に存在するクモが一年間に消費する獲物の総量は4億~8億トンにもなるという。この重さは地球上に存在する全人口70億人の体重よりも大きい数値になる。それどころか全人類を食い尽くしても、まだクモたちは満腹にならないというのである。
1平方メートル当たり、平均131匹のクモが潜んでいる
この恐るべきデータは、まず主要な地球環境のグループを定め、その1平方メートルあたりのクモの数から地球上のクモの総数を計算。それとクモが一年間に食べる獲物の平均消費量をもとに算出されている。
砂漠や寒冷地などはクモの生息数が少ないが、地球における平均的なクモの密度は、1平方メートル当たりに131匹もいるそうだ。ちなみに、地球上のクモの総重量は2500万トン。比較対象として、あの悲劇の沈没事故を起こしたタイタニック号の重量が5万2000トンなので、タイタニック号が478隻分ということになる。
クモは一日に自分の体重の10%の獲物を食すと言われている。クモの多くは昆虫を獲物としているが、一部の大型な種は爬虫類や鳥類、そして小型の哺乳類さえも食べる。
クモが人間を襲うパニック映画も存在するが、数字で考えると実に恐ろしい。しかし、なぜそんな計算をしてみようと思ったのかは、さらに謎である。