事故でアゴを失ったウミガメ 3Dプリントでチタン製のアゴにバージョンアップ
2015/09/17
チタン製のアゴを持つ世界初のウミガメが誕生したという。
このウミガメは、アカウミガメという種類。船舶との衝突事故によりアゴを大きく損傷してしまった。そこで人間の手で人工のアゴを取り付けたというのだ。
このウミガメは、トルコの地中海で泳いでいる際に、船のスクリューに巻き込まれたものとされる。
アカウミガメは、ロブスターやカニなどの甲殻類を食べる際に、どうしても強靭なアゴとクチバシが必要である。しかし、そのカメは事故により右側のアゴを大きく損傷してしまったのだ。
カメは保護された後、AKUT3というニックネームがつけられた。
損傷したアゴを治療するにあたり、外科医がウミガメの頭蓋骨をCTスキャンした。
そのスキャンデータを元に、医療用3Dプリンター企業の「BTechイノベーション」の協力により、チタン製の金属のアゴがつくられた。「BTechイノベーション」は、外傷を受けた人間用の代替関節や人工骨をつくっている企業である。
チタン製のアゴは、約100ポンド(約45キロ)あるカメと損傷したアゴの骨に合うようにつくられ、カメの頭蓋骨にボルトで固定された。医療チタンを使用することで金属による拒絶反応などを防ぐことが出来るとのことで、トルコでおこなわれた2時間半の手術により装着された。
そのカメは、順調に回復しているようで、ゆくゆくは野生に戻す予定だという。
トルコのパムッカレ大学のウミガメの専門家であるヤクプ・カスカ(Yakup Kaska)は、「アゴが損傷したままであったなら、エサを食べることが出来ずに命を落としていただろう」
「今回のチタン製のアゴによって、AKUT3が海に帰る日も近いかもしれない」と語っている。
術後18日間たった段階での状態は良好で、順調に回復しているとのこと。
次のステップは、ウミガメに金属のアゴの使い方を学習させ、自力でエサを捕れるようにすることだ。
ゆくゆくは、自然に帰すことを目指しているという。
動画:youtubeより『Injured loggerhead sea turtle receives 3D printed jaw』
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via:dailymail(英語)