人為的に進化をさせる!? 訓練により魚を陸上生活させる
2015/03/12
現在の陸上生物は元をたどると、海に生息していた生物から進化を遂げたとされている。
しかし、生物が陸上に上がれるようになるまでには途方もない年月がかかる。
だがそれを、人為的に、しかもたった8ヶ月間でおこなった実験の成果が報告された。
実験台となった魚は、ポリプテルス・セネガルスという古代魚。
聞きなれない名前だが、熱帯魚屋などで日本でも割と普通に販売されている魚で、私自身も高校生の頃に熱帯魚屋で購入し数年間飼育したことがある。
私が飼育したのはポリプテルスのエンドリケリーという種類で、それほど手がかからず非常に丈夫だった記憶がある。価格としても数千円で購入できた。
話を本題に戻すと、カナダの研究チームがおこなった実験で、その成果は、イギリス科学雑誌「Nature」の2014年9月3日のオンライン版に掲載された。
カナダの研究チームの論文「発生的可塑性と四肢動物の起源(Developmental plasticity and the origin of tetrapods)」
youtube:『Fish out of water - nature video』
前述のとおり、ポリプテルスはエラ呼吸と合わせて肺呼吸が可能で、胸ビレも発達しているため、野生化でも水辺の湿地帯などを多少移動することはある。しかしそれは乾季等により水が不足した際に近くの水たまりへ移動するだけの緊急手段であり、あくまで魚類である。そのポリプテルスをなんと8ヶ月間も陸上で飼育したというのである。
その実験内容は以下のとおりである。
乾燥を防ぐために砂利を敷き、3ミリ程の水を入れ、定期的に霧吹きをして水槽内の湿度を保つ。
たったそれだけである。
この環境で、ポリプテルス111匹を8ヶ月飼育したところ、通常ではありえない動作での歩行をおこない、なんと胸ヒレや関節の可動域、体の骨格まで変化したというのだ。
今後、更に長期間の陸上飼育も計画しているとのことで、もしかすると人類が何万年何億年とかかった進化の様子をこの目で見ることができる日が来るかもしれない。
新たな情報が入り次第、追って報告する。