ダウン症の娘を2年間も介護したチンパンジー! 京都大学が世界初の観測
京都大学の研究チームが、ダウン症と思われる重度の先天的障害を抱えたチンパンジーの赤ちゃんを介護する野生のチンパンジーの観察に成功したと、霊長類研究の国際学術誌「プリマーテス」のオンライン版で10日に発表した。
チンパンジーが障害を抱える子供の育児をするのを観測したのは今回が世界で初めてである。
障害を抱えた娘を懸命に介護する母親のチンパンジー
その障害を抱えたチンパンジーはメスで、2011年1月にタンザニアのマハレ・マウンテン国立公園(Mahale Mountains National Park)で、38歳の母親クリスティーナ(Christina)のもとに生まれた。
生まれつき重度の障害を持っており、その症状は人間のダウン症によく似ているという。発達の遅れや腹部のコブ、また脊椎の障害を持っていたようで、自分の力で身動きを取ることができない状態だった。
観察をした京大野生動物研究センターの中村美知夫(なかむら みちお)准教授によると「母親のチンパンジーは娘が障害を持っていることを理解しているようだった」という。そのため、その赤ちゃんチンパンジーの介護は母親のチンパンジーと姉にあたるチンパンジーの2頭で世話をし、他のチンパンジーには触らせないよう気を配っていたというのである。
2年間にもわたって、母親と姉のチンパンジーが世話を続けた
そのような状態で2年間にもわたって障害を抱えた赤ちゃんチンパンジーの世話をしていたのだが、残念なことに2012年12月以降その姿が確認されておらず、亡くなったものと考えられている。
中村准教授は「チンパンジーは人間に最も近い霊長類であり、彼らを観察することは、我々人間が障害者へのケアをどのようにしておこなってきたのかを理解するのに役立ちます」と語っている。
via:dailymail(英語)