未来の燃料はオシッコ? 尿を入れた靴下から発電する「微生物燃料電池」を開発
西イングランド大学(UWE)のブリストルバイオエネルギーセンターの科学者らが、小型の微生物燃料電池を装着した靴下型の発電装置を開発した。
しかもその発電装置は、人間の尿から電気を生成することができるというのだ。
微生物燃料電池とは?
そもそも、この「微生物燃料電池(microbial fuel cell)」というシステムは、微生物の働きを利用した発電方法である。
微生物燃料電池の場合、燃料となる物質は一般的な石油や太陽光などではなく、微生物の栄養源になる有機物が燃料となる。この有機物を微生物が食べる(酸化分解)際に発生する電子を電極から回収して、電子機器を動かすための電気とするのだ。
今回、西イングランド大学の科学者らが微生物燃料電池の燃料に選んだのが、人間が不要な物として毎日排出している尿だったのである。
尿が燃料になる
しかし、現時点では微生物燃料電池には様々な問題点が存在し、その一つが「有機物の循環」。
発電を微生物に依存する方法ゆえ、その発電率の効率化・安定供給することが難しいのだ。特に電気の安定供給のため、尿を循環させる必要があるのだが、その循環のためにせっかく発電したエネルギーを使用してしまっては意味がない。
そこで、西イングランド大学の科学者は靴下型の発電装置にすることでその問題を解決した。
今回開発された装置には、合計24本のチューブが膝から踵にかけて伸びている。そして、そのチューブは発電機関の一部であるサンダルの中敷の下を通るようになっている。
こうすることで、人間がその装置を着用した状態で日常生活を送ると、歩くたびにチューブの内部に入れられた尿が絶えず循環できるようになっているのだ。チューブの内部には合計648ミリリットルの尿を入れられるようになっている。
将来的には、緊急時のGPS発信機などに応用の可能性
この靴下型尿発電装置は、ジャーナル誌に発表された実験結果によると、装置から発電された電気を使ってコンピューターに2分置きに無線で信号を送ることに成功したという。
研究を主導したイオアニス・イエロプロス(Ioannis Ieropoulos)は「このシステムは完全に自給自足の発電装置です。廃棄物を利用して電子機器に電力供給するシステムの可能性をひらきます。」「将来的には、遭難者などが緊急時に現在地の座標を送信する救難信号などに役立てることができる。」と説明している。
via:dailymail(英語)