最古のトランスジェンダー? 二千年前のローマの女性、DNA鑑定で男性と判明
最新の研究により驚くべき事実が判明した。
2000年前にローマ帝国に住んでいた貴婦人の遺体が、最新のDNA鑑定の結果、実際には男性であったことが明らかになったのである。しかし、その人物は当時女性として生活をおくっており、骨格の形状も女性そのものだった。そのため研究者らは、体の性と心の性が一致しないトランスジェンダー(正同一性障害の一種)である可能性を示唆している。
世界最古のトランスジェンダー
問題の人物は1979年に、イギリス・ロンドンのサザーク区の地中から発見された遺体。
今から約2000年前、西暦50~70年頃のローマ帝国で暮らしていた人物で、骨盤などの形状からこれまで女性の遺体と考えられていた。また埋葬されていた遺体には、青銅鏡やネックレス、陶器などが一緒に入れられており、その当時も女性として生活していたと推測される。
社会的な地位も高かったとみられており、その遺体は「ハーパーロードウーマン(The Harper Road Woman)」と呼ばれていた。
しかし、この「ハーパーロードウーマン」。最近の鑑定によって「ウーマン」ではなかった事が判明したのである。
当時の生活状況や骨格も女性なのに、男性の染色体を持っていた
鑑定をおこなったのは、イギリスのダラム大学とカナダのマクマスター大学、そしてロンドン博物館による研究者チーム。
チームは歯のエナメル質の分析や、DNA鑑定を行ったのである。その結果「ハーパーロードウーマン」の染色体は、男性であることを証明するXYの染色体を持っていることが明らかになったのだ。
チームは「ハーパーロードウーマンは、明らかに女性としての特徴を持っていましたが、その染色体は男性でした」と語る。
その明確な原因は特定できていないそうだが、アンドロゲン不感性症候群(男性ホルモンを受容体が感知しない性分化疾患で、本来男性であるにも関わらず、体が男性化しない障害)や、性腺発育不全(生殖器が発達しない障害)などによって、性器や容姿が男性化しなかったために、女性として育てられたトランスジェンダーだったと主張している。
こうした障害によって、本人にも自覚がないまま女性として生活している男性が、現在も希に存在しているという。
via:dailymail(英語)