藻を食べて光合成をするテングモウミウシ! エサが無くても光合成で半年生きる
牛の角のような触覚を持つことから「海の牛」という名前がつけられたウミウシ。
様々な種類が存在し、奇抜な形や鮮やかな色で、見るものを魅了するウミウシだが、そのウミウシの中には光合成をおこなうことが出来るものが存在する。
それがテングモウミウシ(Costasiella kuroshimae)というウミウシ。
体長は5ミリ程で、日本やインドネシア、フィリピンなどの浅い海に生息している。このテングモウミウシは、海藻や藻を食べる草食性で、それらを食べる際に、植物に含まれる葉緑素を自分の体に取り込んで機能させる能力を持っているのだ。
植物中の葉緑素を体に生えている突起の部分の蓄え、光合成をおこなうことが出来るようになっており、エサが無い環境でも光合成をおこなってエネルギーを作り出して、半年も生存した例が報告されている。
しかし、通常、植物から葉緑素を取り出しても、それ単体では光合成をおこなうことはできない。しかし、このウミウシの場合、取り込んだ葉緑素を機能させることが出来る。これは、盗葉緑体(クレプトクロロプラスト)という現象で、有孔虫など一部の原生生物がおこなうことのできる現象なのだが、複雑な多細胞生物でこの現象をおこなうことが出来るのは、ウミウシのごく一部の種類のみなのである。
長らく、なぜウミウシだけがこのようなことをおこなえるのか不明だったが、今年になってアメリカのサウスフロリダ大学の研究者らが、生物学誌のバイオロジカル・ブレティンにて、太古の昔にウミウシが、リトレアという黄緑藻類の葉緑体を機能させる遺伝子を、自身のDNAに取り入れて、その機能を現在まで受け継いでいる可能性が高いと発表した。(この研究に使われたウミウシはテングモウミウシとは別種の米東海岸に生息するウミウシでおこなわれた)
ただ遺伝子の取り入れ方など、現在も不明な部分が多く、謎だらけの生物である。
via:boredpanda(英語)