着払いで、自分自身をイギリスからオーストラリアまで郵送した男
2015/03/17
とても正気とは思えないが、これを行ったのは、レッグ・スピアーズという人物。
それは1964年、彼は当時22歳でやり投げの選手だったがケガの療養のためイギリスにいた。
彼は僅かな所持金しか持っていなかったが、どうしてもオーストラリアに帰る必要があった。
それは、娘の誕生日のためである。
そこでレッグが思いついた方法が貨物として、自分自身をイギリスからオーストラリアへ送ってしまうというものだった。
彼は空港の貨物輸送に携わる仕事をしていたため、自信があった。
まずレッグは友人と共に、自分が入る木箱を作ることにした。
サイズは、76センチメートル×91センチメートル×1.52メートルとして、貨物の指定サイズに収まる限界の大きさにした。
更に、飛行機が飛行中木箱から出ることができるよう、木箱の両側を内部から開けられるようにしたのだ。
ラベルには、架空のイギリスの化学会社から、こちらも架空のオーストラリアの靴会社宛とし、着払い料金を支払う受け取り人の名前にも架空の名を記載した。
そして、1964年10月17日友人三人の協力を得て、彼の入った木箱はイギリスのヒースロー空港の貨物発送窓口より発送されたのだ。
しかし、その旅は初めから不幸に襲われた。
濃霧のため、出発が24時間遅れたのだ。
木箱には、フルーツジュース、スパゲッティの缶詰2缶、ビスケット、チョコバー、ガムを入れていたため、それで空腹を満たしその時間を乗り切った。
そして、無事飛行機は離陸した。
離陸すると、彼は木箱から出て、貨物室で体を伸ばしたという。
しかし、この旅は簡単にはいかない、イギリスからオーストラリアへ直行するわけではないのだ。途中フランスのパリとインドのムンバイを経由するのである。
パリに到着し、次のムンバイ行きの飛行機に貨物として乗ることに成功、そして無事ムンバイに到着したのだがここで問題が起きた。
ムンバイから、目的地のオーストラリア行きの飛行機に載せるため、レッグの入った木箱は飛行機から降ろされたのだが、空港スタッフは、その木箱を駐機場に置いたまま昼食に行ってしまったのである。
場所はインドのムンバイ。炎天下に長時間放置されたため、木箱の中はサウナ状態になってしまったのだ。
着ていた服は汗で濡れてしまったため、洋服を木箱の中で脱いだ。そして脱水症状気味になってしまったのである。
そして、木箱はオーストラリアのパースへ到着する。彼はというと、なんと生きていたのだ。
飛行機に積まれたあと、貨物室にあった荷物の中から大量のビールを見つけ、それで喉を潤したのである。
実に63時間、21000キロの旅路はようやく終わったのだ。
その後、彼は空港職員のタバコ休憩の隙に荷物から脱出。何食わぬ顔で一般の旅行者に混じり空港から出ることに成功。
無事家族に会うことができたのだ。
レッグの行ったことは当然犯罪行為。では何故このことが公に知られるようになったのかというと、オーストラリアに到着後、レッグはそれを手伝ってくれた友人に連絡することとなっていたのだが、その報告を忘れてしまったのである。
連絡がないレッグを心配した友人の一人が、知人のイギリス人ジャーナリストに彼の行方を追って欲しいと話し、この計画が公に知られるようになったのである。
しかしこのレッグ、かなりの問題児のようで木箱事件で有名になっものの、その後、麻薬の密輸や拳銃の違法所持などの容疑で何度も逮捕されている。
では、今レッグはどうしているかというと、釈放され現在73歳でオーストラリアのアデレードに二匹の犬とパートナー(事件当時の妻ではない)とで暮らしているとのこと。
出典:dailymail(http://www.dailymail.co.uk/news/article-2987568/The-man-posted-London-Perth-wooden-BOX-went-escape-death-sentence-Sri-Lanka-smuggling-heroin-lives-quiet-life-Adelaide-two-dogs.html)