脳がつながった状態で生まれた結合双生児、20時間に渡る手術で分離成功
今週木曜日、結合双生児の赤ちゃんが分離手術を受けた。
結合双生児として有名なべトちゃんドクちゃんの場合は下半身が結合していたが、今回手術を受けた二人はなんと頭がつながった状態だったのだ。
頭がつながった状態で誕生したアナイアスとジェイドン
その赤ちゃんは、現在生後13か月のアナイアス(Anias) と ジェイドン(Jadon) 。
クリスチャン・マクドナルド(Christian McDonald)37歳と妻のニコール(Nicole)31歳の間に生まれたのだが、頭部がつながった状態だった。そのため、帝王切開によって取り出された。
このように体の一部がつながった状態で生まれることを結合双生児と呼ぶが、とりわけ二人のように頭部がつながっている赤ちゃんを頭蓋結合体双生児(craniopagus twins)と呼ぶ。
頭蓋結合体双生児の40%は死産する。もし生まれたとしてもその多くが24時間以内に亡くなってしまうため、生後13か月もつながった状態で生存していることは珍しい。しかしながら、このままでは日常生活に致命的な支障があることはもちろん。常に命の危険があるのだ。
もし、分離をしない状態でいた場合、2歳までに80%が合併症などによって命を落とす。そのため、両親はリスクを理解したうえで、アナイアスとジェイドンの分離手術に踏み切ることを決意したのだ。
手術の中断を検討する事態に
今回、アナイアスとジェイドンの手術を行うことになったのは、ニューヨーク州、ブロンクスにあるモンテフィオーレ病院。
イリノイ州から二人を移し、2016年10月13日(木曜日)の午前7時15分に手術が開始された。
手術に当たり医師たちは3Dモデルを使用したシミュレーションを行うなど入念な準備を行い、この手術に挑んだのだが、頭部を開頭した後にその手術の困難さに直面することとなる。
手術を執刀した医師のジェームズ・グッドリッチ(James Goodrich)によると事前の検査やシミュレーションで想定していた予想以上に、二人が脳組織を共有していたというのだ。そのため手術の中断を検討する事態にまでなったという。しかし両親の強い希望もあり手術を続行した。
分離に成功したアナイアスとジェイドン
手術は困難を極めたが、実に20時間にも渡る処置の結果、分離に成功した。ジェイドンは翌金曜日の午前7時、アナイアスは午後1時に手術室から別々の状態で出ることが出来たのだ。両親はその間、イリノイ州にある病院の待合室に座って、時が来るのを待っていた。
手術成功後、二人の母であるニコールは「医師たちに「ありがとうございます」という言葉を口することがやっとでした。 」と語っている。
無事に分離したアナイアスとジェイドンだが、二人にはまだ苦難が待っている。現在も入っている集中治療室にて72時間を過ごした後、リハビリセンターに数か月入る必要があるのだ。また、アナイアスの方はジェイドンよりも重度の障害が残る可能性が高いとみられている。
今回の手術にかかった費用は250万ドル(約2億6000万円)。二人は医療保険に入っていたが、不足する金額もあり、現在クラウドファンディングサイト「GoFundMe」にて寄付を募っている。
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