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実はダウン症ではなかった! ホワイトタイガーのケニーに見る近親交配と誤解

   

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実はダウン症ではなかった! ホワイトタイガーのケニーに見る近親交配と誤解

ホワイトタイガーのケニー(Kenny)という虎をご存知だろうか。

ダウン症のホワイトタイガーとしてメディアなどで報じられたケニーについて、ケニーを保護していたテルペンチンクリーク野生動物保護区(Turpentine Creek Wildlife Refuge)のスタッフ、エミリー・マコーマック(Emily McCormack)はダウン症であることを否定するとともに、ホワイトタイガーに関する誤解を訴えている。

ダウン症とされたホワイトタイガーのケニーと、弟とみられるウィリー

ケニーが保護されたのは2000年のこと。アメリカのアーカンソー州の民間のブリーダーの元で生まれ、汚物が十分に片付けられていない劣悪な環境に住んでいたという。

実はダウン症ではなかった! ホワイトタイガーのケニーに見る近親交配と誤解

こちらが、メディアがダウン症と報じたホワイトタイガーのケニー。
保護をした施設によると、ダウン症ではなかったという。

保護された時、ケニーは約2歳。ケニーの弟と思われるウィリー(Willie)という虎とともに保護をされたのだ。ケニーは後にメディアがダウン症と紹介したように、低い鼻や平たい顔という奇形を患っており、その弟のウィニーにも異常が見られた。

実はダウン症ではなかった! ホワイトタイガーのケニーに見る近親交配と誤解

ケニーの弟とみられるウィリー。通常色で、目の焦点が合わない異常がある

エミリー・マコーマック(Emily McCormack)は、この異常の原因はホワイトタイガーを繁殖させるためにおこなわれた長年の近親交配による結果と主張している。そしてこのような近親交配が行われるのには、ホワイトタイガーに関する間違った誤解があると語る。

ホワイトタイガーは希少な虎の一種類ではなく、ベンガルトラの白変種

エミリーはホワイトタイガーが希少種のトラという間違った誤解により、保護という間違った名目で大手を振って繁殖が行われている現状を否定しているのだ。

実はダウン症ではなかった! ホワイトタイガーのケニーに見る近親交配と誤解

ケニー(左)とウィリー(右)

このことについて、動物の保護団体「ビッグキャットレスキュー(BCR)」の広報スーザン・ベス(Susan Bass)も同じ意見を訴えている。

「ホワイトタイガーが希少種というのは誤りです。ホワイトタイガーは虎の種類ではありません。インドに生息するベンガルトラに白変という色素異常が発生した個体です。白変は野生下でもたびたび生まれますが、通常自然淘汰され増えることはありません。実際、ホワイトタイガーの野生個体は1950年以降発見されていないのです。」と語る。

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また、「たまたま、白変によって生まれた一頭を珍しさのあまり人間が捕獲。それを繁殖させて人間が無理やりホワイトタイガーをつくっただけなのです。」「現在、存在するホワイトタイガーは全て、その個体からの血統によるもので、人為的な近親交配によって生み出されただけなのです。」と語っている。

実はダウン症ではなかった! ホワイトタイガーのケニーに見る近親交配と誤解

長年の近親交配によってこのような奇形が生じた可能性が高い


ホワイトタイガーは人間が近親交配でつくった「客寄せパンダ」

要するに、ホワイトタイガーは野生に存在する個体ではなく、人間が客寄せパンダとして作った動物に過ぎないということなのだ。

そのため、エミリーはホワイトタイガーの繁殖をすべきではないと主張している。実際、異常を持ったホワイトタイガーのケニーの弟であるウィリーは、通常色のトラとして誕生している。

しかし、近親交配の影響によるものなのか、ウィリーにも目に異常があり、目の焦点が交差してしまっていた。

実はダウン症ではなかった! ホワイトタイガーのケニーに見る近親交配と誤解

2008年に悪性腫瘍によってケニーは亡くなった

実はダウン症ではなかった! ホワイトタイガーのケニーに見る近親交配と誤解

その死因に近親交配の影響があったかは不明である

また、ケニーは通常飼育下なら20年生きるはずにも関わらず、2008年に黒色腫という悪性腫瘍によって10歳で死亡している。これが長年の近親交配によるものなのかは分かっていないそうだ。

ケニーはダウン症により精神薄弱とメディアで紹介されていたが、実際にはおもちゃで遊ぶことが大好きな、好奇心旺盛な性格だったという。

実はダウン症ではなかった! ホワイトタイガーのケニーに見る近親交配と誤解

本来、野生に生息していないホワイトタイガーを希少種としてもてはやし、人間の都合で繁殖させるべきでないと主張しているのだ

日本の動物園でもホワイトタイガーを目玉にしている動物園があるが、今一度考え直す必要があるのかもしれない。

 

via:The Dodo(英語)

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