寿命は100年!餌がなくても14年生きる!「人間の魚」と呼ばれるプロテウス
スロベニアにあるポストイナ鍾乳洞という洞窟に「人間の魚」と呼ばれる奇妙な生物が生息している。
その奇妙な動物の名前は、「プロテウス」。日本名では「ホライモリ」と呼ばれる生き物だ。
その肌の色が、白人の肌に似ているため「人間の魚」と呼ばれているが、魚ではなく両生類である。
プロテウスが生息しているポストイナ鍾乳洞は、ピウカ川という川の地下水によって約200万年という長い年月をかけて形成された洞窟で、最も深い場所では地下115メートルにもなる。
そんな外界とは隔離された特殊な環境に生息しているだけあった、プロテウスも非常に変わった生態をしている。
古くは、ドラゴンの幼体と考えられていた
体長は、20~30センチほどで、ウナギのような長い体に手足がついた体をしている。頭部には外エラがついており、このエラから水中の酸素を吸って呼吸するほか、皮膚からの皮膚呼吸もできるようになっている。
ヨーロッパにおいて、洞窟に生息するイモリのような脊椎動物は、本種のみであることから、このプロテウスを最初に書物に記したヤネス・ヴァイカルト・ヴァルヴァソル(Janez Vajkard Valvasor)は、1689年にプロテウスをドラゴンの子ども(幼体)として紹介していた。
皮膚で光を感じることができる
光の入らない環境で生きる生物にとっては珍しいことではないが、まず目はほぼ退化しており、皮膚の奥に入り込んでいるため確認することができない。しかしある程度の光を感じることはできるようになっている。退化した目とあわせて、全身の皮膚で光の有無を感じることができるようになっているのだという。
これは、皮膚細胞にメラノプシンという光受容体を持っているためである。
寿命は100年、餌がなくても14年生きる
プロテウスの寿命は、非常に長いことが確認されている。最近の研究では、平均で70年、最長で100年の寿命を持っていると考えられている。通常、体の小さい生物ほど寿命が短い傾向にあるが、それが全く当てはまらないのだ。
この長い寿命の一因として、効率的なエネルギーの節約がある。エサにありつけないときには、代謝レベルを落とし、活動レベルを最小限にまで下げるのである。それでも、エサがない場合には自身の組織を再吸収して、飢餓を乗り切ることができるようになっている。これは、エサの乏しい洞窟の環境に適応したためで、実験ではエサを食べずに14年間も生存した記録が確認されている。
スロベニアのレッドリストで、プロテウスは絶滅危惧種に指定されているが、農薬などが地下水に流れることによる環境汚染が危惧されている。
via:BBC news(英語)