アメリカ西海岸にゼリー状の生物が大量漂着! 正体はクラゲではなくサルパ?
今月上旬(2015年7月11日、12日)、アメリカ・メリーランド州の海岸に、ゼリー状の物体が大量に漂着した。
一見するとクラゲのように見えるが、そのゼリー状の物体の正体は「サルパ」という生物だという。
サルパは北極から南極まで広く生息する生物で、無性生殖することができる。無性生殖によってクローン体を生み出すと連結する形で、時に30メートルのコロニーをつくることもある不思議な生物だ。
マサチューセッツ州・ウッズホール海洋学研究所の副所長ラリー・マディン(Larry Madin)によると「サルパはクラゲに似ているが、共通点はゼラチン質の体で海中を漂っているくらい。どちらかと言うとサルパは、クラゲよりも人間に近い生物だ」という。
このサルパが、大量に海岸に漂着した原因について、モントクレア州立大学の海洋生物学者ポール・ボローニャ(Paul Bologna)は、「サルパが大量に海岸に打ち上げられるのは、海流や風向きによるもので、たびたび発生する自然現象だ。」と主張する。
気味の悪い見た目をしているが、サルパは多くの科学者が注目をしている生物でもある。なぜならサルパは、現在大きな問題となっている地球温暖化の救世主となる可能性が示唆されているのだ。
サルパは、植物プランクトンを食べるのだが、サルパが好んで食べる植物プランクトンは、大気中の二酸化炭素を多く取り込んで育つ性質をもっている。サルパは植物プランクトンを食べると、植物プランクトンに含まれる炭素ごとフンとして排出をする。その炭素は大気中に戻ることなく海底に沈むため、地球温暖化の原因とされる大気中の二酸化炭素の増大を防ぐ役割があるという。